平成30年度文化庁芸術祭参加作品

口伝 稲生物怪録

RCCラジオ11月11日(日)20:00~21:00

稲生物怪録とは

江戸時代中期に、現在の広島県三次市に存在した武士の子息、稲生平太郎(いのうへいたろう)が体験したとされる怪奇現象をまとめたものです。
物語は平太郎と三井権八という相撲取りが、妖怪を呼び出す百物語をするところから始まります。
その後、平太郎の屋敷には30日間にわたって、さまざまな化け物が出没。
平太郎はこれを次々と退ける、という話。
絵巻、絵本など多岐にわたって様々なバージョン違いの物語が存在しています。
日本の妖怪譚の最高峰とも言われ日本一長い化物語です。
「稲生物怪録」は、写本類が江戸時代から広く民衆に親しまれてきました。
明治以降も、講談本に登場したり、小説や戯曲、神楽や子ども向けの読物などに継承され、今日に及んでいます。

物語の主人公である稲生平太郎(のち武太夫)自身が書いたという形式の『三次実録物語』をはじめ、各種の稲生物怪資料が、存在しています。
稲生平太郎は「武太夫」ののち「忠左衛門正令」を名乗ります。
また、宝暦8年(1758)に広島へ移転しています。
ちなみに、良くある間違いとして…。平太郎は三次藩士と思われがちですが違います。稲生物怪録にある「寛延2年に16才」から逆算すると、平太郎は、享保19年に生まれましたが、三次藩はそれ以前の享保5年に廃絶しています。ですので、平太郎が三次藩士になりたくてもなりようがありません。
広島に引っ越したのち「御広式詰御歩行目付」などを仰せつかって、計52年勤めた後に享和3年(1803)12月に70歳で亡くなっています。