ナチュラリスト読書会


なつかしい大学時代。
京都・北大路堀川にあるその下宿は、大家さん家族が1階と2階に住み、
3階に僕らの下宿がありました。下宿は3部屋で、炊事場はなく、トイレが共同でした。
大家さんは確か西陣織を仕事にしていて、自宅が仕事場。
一度見せてもらった記憶があります。
6畳の部屋でも親と離れて暮らすことに憧れていた僕は、まるで独立したかのような気分。
大学に慣れてくると、深夜まで友達と語るのが面白く、また、当時とても好きな人がいて、週末その人と会えることが最高の幸せで、親の必死の仕送りをすべて「遊興費」に使っていました。
自分の部屋へは、大家さんと同じ玄関・同じ階段を使ってたどり着きます。
門限などはありませんでしたが、さすがに真夜中に騒ぐと階下の大家さん家族に迷惑。
友達を泊めるのも原則禁止。まして、女性を部屋に泊めるには、夕方までに銭湯に行き、一度女性に帰ったふりをしてもらい、大家さんの隙を見て足音立てずに3階まで忍び込むというスパイみたいな苦労が必要でした。
結局、僕は一年でここを出てしまいます。好きな人にはすぐにフラれてしまうのですけど。
京都は祭りがたくさんあります。
たまに、箱寿司や和菓子をいただき、階下にある「家庭の温かさ」に触れさせていただきました。もっと交流しておけば、と今更ながら。

この本は、大家さんとの交流を描いた素晴らしい一冊。
2人の立ち位置が絶妙でおもしろいです。ぜひ、読んでみてください。

             一文字弥太郎



昔話って理不尽な物語が多いですよね?!
浦島太郎なんて、おじいさんにされちゃって、たまったもんじゃありません!
でもね。
『昔話には、社会の理不尽さ生きることの切なさとともに、
 それを乗り越えて行く人間の強さが込められている。』と著者。
なるほど、浦島太郎に「年をとってもちゃんと生きろ!」って言ってるわけです。
民俗学では、こどもと年寄りが神に近い存在なんだとか。
これ、もっと広めたい!神に近い人をどちらも虐待しているんですよ、いまのこの国は!

この本は・・・気鋭の民俗学者が大学を辞め、老人ホームで働き始める。
そこにいる年寄りの「語り」に耳を傾ける。
年寄りは聞き手の知らない世界を教えてくれる師となる。
するといつも「される側」にいる年寄りが「してあげる側」になり、
その関係性が豊かさを生む。その過程を考察してまとめた一冊。
介護の世界と民俗学がこんなにつながるとは、まさに驚き!
とても素晴らしい結びつきだと思った。

「遺言を書くほど財産はなし。葬式代はなんとかする。」
亡くなった父の晩年の口癖。
今、母は一人、家の中でも杖をつきながら生きている。
少しだけ「語り」に耳を傾け、どうして父と結婚したのか聞いた。
「博打しない人と聞いたから。」
そっかー、昔は全て伝聞で結婚を決めていたんだ。
「でも、女好きとは聞いてなかった」
そっかー、そこを受け継いだのか、と苦笑。

いつかちゃんと母の「語り」に耳を傾けたい。
そのために読んだ一冊。

             一文字弥太郎




「一生 君を離さない」とか
「永遠の愛を誓います」とか
「死ぬまで君を愛してる」とか
その時は確かにそう思っているんだけど、結果は違うことが時々あるよね。
永遠どころか3年未満で終わったとき、どんな顔すればいいんだろうって思うんだけど
それでも人は、約束したがる。約束して欲しいと願う。
その瞬間「未来を捧げてくれる人」が好きなんだと思う。
恋する2人にとって、未来は大切な貢物。
でも、その未来がわけわかんなくなってきた。
平均寿命が延びると「セカンドライフ」が生まれ、「熟年離婚」も頻発。
そこまではまだ簡単だった。ついていけない男は自己責任とされた。
しかしこれから先は・・・?!

そんなときに選んだ2冊。

「テクノロジーの変化は急激に加速し、それらの変化をほとんどの人間が吸収できる平均的な速度を超えてしまった。もう大半の人間が、ついていけなくなった。」
「誰かが予定に遅れでもしてくれない限り、ゆっくり考える時間が取れないほど、私たちは忙しない・加速した時代を生きている」
刺激的な文章が綴られている。

ひとつ確信したことは、未来は生きている限り、学び続けなければならないということ。
でも未来は、やる気さえあれば「無料」または「低コスト」で学ぶことができる時代だ。
ということは、やる気の格差で人生の格差が広がる。
やっぱり、やる気のないやつは今も未来も駄目なんだ。

「僕は今、君が一番好き!ずっと君と学んでいたいと思う」

                 一文字弥太郎



今月のジャケ買い、ラインナップはこちら!

◎今月のおすすめ
・愛と勇気を、分けてくれないか/清水浩司/小学館

◎ジャケ買い
・ニッポン駄菓子工場/Beretta/雷鳥社
・進化論キーワード図鑑/池田清彦/宝島社
・マサイのルカがスマホで井戸を掘る話/ルカ・サンテ&GO羽鳥/Gakken
・たろとミフネさん、時々ヨシダさん/橋本裕敬(たろの父)/ぴあ
・おばあちゃんが、ぼけた。/村瀬孝生/新曜社

今回は、一文字さんが「ニッポン駄菓子工場」、
岡さんが「マサイのルカがスマホで井戸を掘る話」を購入!
次回のジャケ買いもお楽しみに~^^




「大学時代、10人以上のコンパは行かない」と決めていました。
別に、コンパは演芸場ではないのだけれど、
モテない僕には「おもしろかったー」と言ってもらえることが唯一の救いだったのです。
だけど10人以上のコンパとなると、いつもよりウケない!
これには理由があります。
10人以上のコンパとなると、仕切り屋=司会役が現れ、
そこに向けて、できるだけ短い言葉で笑いをとらなければならない。
これが僕にはできなかった。
僕はしゃべっている人の反応を見ながら、話題を探すタイプ。
10人以上となると、もうイベント、対パーソナルな展開ではないのです。
コンパの帰り、たったひとりで賀茂川の土手を歩いて行う「ひとり反省会」は、
みじめ・・・でした。
卒業してからも、10人以上集まるパーティ(結婚式や歓送迎会)でスピーチを頼まれるのですが、ことごとく外してきまたした。
だから、決めました。
10人以上集まる「場」では、しゃべらない。そもそもそんな「場」には行かない、と。

ところが最近、『50人から60人集まるある会合で1時間話しをして欲しい』と依頼がありました。もちろん、断ろうと思いましたが、その人は以前 この番組でお世話になった人で・・・義理と人情秤にかけて、ここで断ると縁が切れると思い、引き受けました。
引き受けてから、猛烈に2冊の本を読みました。
どちらも名著です。ぜひ、読んでみてください。

そしてきょう、その会合がありました。とても温かく迎えていただきました。
それなのに・・・太田川の土手を歩き「ひとり反省会」です。
どこまで僕の伝えたいことが伝わったのか?!まったく自信ないです。
本を読み知識を蓄えても、自分の血となり肉となるには、「経験」や「失敗」が必要です。
当たり前ですが、読むだけではだめなのです。
そんなことを実感した夜。
ああ、誰か僕に話し方教室を!!

                一文字弥太郎



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