ナチュラリスト読書会


昔話って理不尽な物語が多いですよね?!
浦島太郎なんて、おじいさんにされちゃって、たまったもんじゃありません!
でもね。
『昔話には、社会の理不尽さ生きることの切なさとともに、
 それを乗り越えて行く人間の強さが込められている。』と著者。
なるほど、浦島太郎に「年をとってもちゃんと生きろ!」って言ってるわけです。
民俗学では、こどもと年寄りが神に近い存在なんだとか。
これ、もっと広めたい!神に近い人をどちらも虐待しているんですよ、いまのこの国は!

この本は・・・気鋭の民俗学者が大学を辞め、老人ホームで働き始める。
そこにいる年寄りの「語り」に耳を傾ける。
年寄りは聞き手の知らない世界を教えてくれる師となる。
するといつも「される側」にいる年寄りが「してあげる側」になり、
その関係性が豊かさを生む。その過程を考察してまとめた一冊。
介護の世界と民俗学がこんなにつながるとは、まさに驚き!
とても素晴らしい結びつきだと思った。

「遺言を書くほど財産はなし。葬式代はなんとかする。」
亡くなった父の晩年の口癖。
今、母は一人、家の中でも杖をつきながら生きている。
少しだけ「語り」に耳を傾け、どうして父と結婚したのか聞いた。
「博打しない人と聞いたから。」
そっかー、昔は全て伝聞で結婚を決めていたんだ。
「でも、女好きとは聞いてなかった」
そっかー、そこを受け継いだのか、と苦笑。

いつかちゃんと母の「語り」に耳を傾けたい。
そのために読んだ一冊。

             一文字弥太郎



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