ナチュラリスト読書会


なつかしい大学時代。
京都・北大路堀川にあるその下宿は、大家さん家族が1階と2階に住み、
3階に僕らの下宿がありました。下宿は3部屋で、炊事場はなく、トイレが共同でした。
大家さんは確か西陣織を仕事にしていて、自宅が仕事場。
一度見せてもらった記憶があります。
6畳の部屋でも親と離れて暮らすことに憧れていた僕は、まるで独立したかのような気分。
大学に慣れてくると、深夜まで友達と語るのが面白く、また、当時とても好きな人がいて、週末その人と会えることが最高の幸せで、親の必死の仕送りをすべて「遊興費」に使っていました。
自分の部屋へは、大家さんと同じ玄関・同じ階段を使ってたどり着きます。
門限などはありませんでしたが、さすがに真夜中に騒ぐと階下の大家さん家族に迷惑。
友達を泊めるのも原則禁止。まして、女性を部屋に泊めるには、夕方までに銭湯に行き、一度女性に帰ったふりをしてもらい、大家さんの隙を見て足音立てずに3階まで忍び込むというスパイみたいな苦労が必要でした。
結局、僕は一年でここを出てしまいます。好きな人にはすぐにフラれてしまうのですけど。
京都は祭りがたくさんあります。
たまに、箱寿司や和菓子をいただき、階下にある「家庭の温かさ」に触れさせていただきました。もっと交流しておけば、と今更ながら。

この本は、大家さんとの交流を描いた素晴らしい一冊。
2人の立ち位置が絶妙でおもしろいです。ぜひ、読んでみてください。

             一文字弥太郎



TOP