保田先生は、よくモノを壊します。
気が付くと、ボロボロ。
カバンであれば、チャックが壊れておしまい。
ただ、どうしてそうなってしまうのか、保田先生自身は分かりません。
そんな先生の行動の一端をディレクターは見てしまったのです。
話は変わって、ディレクターの学生時代の話。
ディレクターの通う、中学は給食が無く、毎朝弁当を持って登校していました。
そのとき困るのが、弁当箱の存在。
カバンの中には、教科書やらノートやら筆箱やら、いろんなものを入れます。
皆さんなら、カバンに教科書やノートをどうやって入れますか?
どうやってって、そんなもん、カバンの向きに従って、縦長のカバンには教科書やノートも縦にして入れるに決まってるでしょ。
まあ、そうですよ。
では、弁当箱はどうでしょう。
弁当を食べた帰り道ならまだしも、朝の弁当箱はパンパン。
日によっては汁気のあるおかずが入っていることもあるでしょう。
それを縦長のカバンにどうやって入れるか?これは結構、問題でした。
縦にすれば汁が漏れるし、横にすればカバンが閉まらない。
なんとかかんとか横に入れて、チャックをギュっとしめて、ときどきチャックが壊れる。そんな日々でした。
保田先生のパンパンなカバンを見て、そんなことを思い出しました。
「あれ?ペンが無い」
先生がパンパンになったカバンを漁ります。
ようやく見つけたペンを出して、縦長のカバンに保田先生は、財布を横長にして、無理やりチャックを閉めるのです。
「先生、どうして縦長のカバンに横長にして入れるんですか?」とディレクターが聞くと、
「そんなもん。そうせんと入らんけぇよ」と先生が答えます。
弁当ならば縦にすれば汁がこぼれますが、財布はそうではありません。
いやいや、先生。物を減らすとか、あるじゃないですか。
先生のモノが次々と壊れる謎が解けたように思ったディレクターなのでした。