今週のハイライト

今日の文化部は、ハンセン病の問題について。
岡山県にある長島には、ハンセン病の国立療養所が2つあり、
かつてハンセン病患者が隔離され、差別を受けてきた歴史があります。
その長島と対岸を結ぶ「邑久長島大橋」が、
5月9日に開通35周年を迎えます。
長島にある国立ハンセン病療養所 長島愛生園 歴史館の学芸員、
田村ともひささんにお話を伺った様子をお届けしました。

「邑久長島大橋」は「人間回復の橋」とも呼ばれています。
かつて長島には、橋が架かっておらず、
療養所の入所者は島の外との繋がりを断たれていました。
長島愛生園と邑久光明園に隔離された方々が、
橋を架けることで、自分たちの尊厳を取り戻す、という意味で
「人間回復の橋」とつけられたそうです。

ハンセン病は、らい菌によってうつる細菌感染症で、
菌を持った患者と体の抵抗力の弱い人が繰り返し接触することでうつります。
うつっても必ず発病する訳ではなく、感染から発病までも数年かかります。
発病すると、体の温度が低いところに症状が出ます。
1947年ごろに薬ができ、病気自体は治るようになりましたが、
患者を隔離する法律「らい予防法」は1996年にようやく廃止されました。

らい予防法や後遺症、戦時中の無らい県運動によって、
ハンセン病患者はひどく差別されてきました。
橋を架けるまでにも、時間がかかり、
地域の理解が得られない、予算がないなど、課題もあったそうです。

かつて、療養所の入所者に希望をもたらした邑久長島大橋。
今では、差別の問題を考える人権学習の場となった長島を対岸とつなぎ、
社会と療養所を繋ぐ役割を果たしています。

ハンセン病、そして現代では新型コロナでも直面した差別。
田村さんは、病気は隠すと感染拡大に繋がり、排除や差別で誰も報われない、
誰しもなる可能性がある病気を、
社会全体で受け入れることが大事だとお話しされていました。
ハンセン病の問題から学べるのは、正しい理解を得ることが必要、
そういったことを学べる場として、長島愛生園があります。
ぜひ多くの方に現地でハンセン病の問題を、差別の歴史を学んでほしいです。

長島愛生園 歴史館では、
ハンセン病の問題を学べるクルージングツアーを行っています。
参加は無料ですので、
参加したいという方は「長島愛生園 歴史館」のHPをご覧ください。



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