今月のキーワードは「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
先月が「電子カルテの中身のルール」だとすれば、
今月は「その中身=皆さんの大切な医療情報を、どうやって守るか」の
ルールのお話。
医療情報を守るときに、3つの『守る』があると考えられているそうです。
1.秘密を守る
見るべき人以外に見られないようにする。
2.正しい情報のまま残す
カルテが書き換えられたり、検査結果が消されたりしたら、
お薬の量を間違えるかもしれない、お医者さんの判断も狂ってしまいます。
3.必要なときに使える
診察を受けるときに、カルテが開けない、検査の結果が呼び出せない、
となれば、診療そのものが止まってしまいます。
新しいガイドラインのポイントは3つ。
1.保守委託機関編という、新しい章が加わる
専門職員がいない、保守を事業者に全面的に委ねている医療機関のための
項目が、独立した章として整理されました。
自分たちでやることと事業者に任せていいことの境目がはっきりしました。
2.二要素認証の導入
銀行のインターネットサービスを使うときの、パスワードを入れて、
さらにスマートフォンに届いた番号を入れる、という操作のことで、
知っていることと持っているものの2つを組み合わせる仕組みです。
3.病院経営の皆さんへのメッセージ
安全管理対策は、コストと捉えるのではなく、
質の高い医療の提供に不可欠な投資と捉えるべきである。
という一節があります。
医療を受ける側である私たちが意識することは3つ。
1.サイバー攻撃は、遠いどこかの話ではない
2.長いパスワードを使う
3.かかりつけの病院を応援してほしい
株式会社レスコの藤川佳應社長に教えていただきました。
今回のキーワードは「電子カルテの標準仕様」。
一言で言えば、「全国の電子カルテが守るべき共通のルール」のこと。
各病院がそれぞれのやり方で、それぞれのメーカーと組んで、
自分たちだけのシステムを作り上げていたため、
後になって「構造的な落とし穴」に気付くことになりました。
課題は「繋がれない」「乗り換えられない」「守りきれない」の三つです。
▶一つ目「繋がれない」
データの「言葉」がバラバラで、
言うなら病院ごとに別々の言語を使っているようなもの。
標準仕様が目指すのは、全国どの病院でも通じる共通言語のカルテへの転換。
また、システム同士のつなぎ方もバラバラなので、
ここもそろえていく必要があるそうです。
かかる費用も数百万から数千万と、経済的な負担も大きくなっています。
▶二つ目「乗り換えられない」
一度あるメーカーのシステムを入れると、
データを他のシステムに移すことが非常に難しく、費用がかかり
実質的に乗り換えができない状態になってしまっています。
これを「ベンダーロックイン」と呼びます。
ベンダーとはメーカーのこと。ロックインとは、鍵をかけられた状態。
一度導入したメーカーから抜け出せなくなってしまう構造です。
▶三つ目「守りきれない」
各病院が自前のサーバーを持つため、
セキュリティの維持も自前で、となってしまいます。
中小の医療機関が、サイバー攻撃に個別で対応するのは限界があります。
全国どこでも起き得る構造的なリスクとなっています。
この三つの問題を解決するために、国が初めて踏み込んだのが、
今年策定された電子カルテの「標準仕様」です。
今回、厚生労働省とデジタル庁が連携して、
初めて具体的な仕様として示したそうです。
内容を簡単に言えば、以下の三つです。
① クラウドへの移行
② 接続口の統一
③ データの共通言語の採用
一見すると医療機関のための話に見えますが、本質は
「公共インフラとしての医療情報システム」を社会全体で設計し直す試み。
導入には時間がかかり、課題もたくさんありますが、
国がルールを示したことの意味は大きい、とのことでした。
株式会社レスコの藤川佳應社長に教えていただきました。
