奄美大島の話。出発前は、台風は、九州か、四国方面に向かっていたのだ。
天気予報も晴れだった。「よかったね、逸れた」そう思って出発した。
次の日は穏やかな海で撮影もできた。
しかし、ぐっと曲がった。奄美大島直撃である。
早い便のキャンセル待ちをかける。
が、基本満席の路線で、中々至難の業である。
そうして台風の真っ只中に突入していく。
あと数時間したら暴風雨の中絶対外に出ないように。
地元の方々に注意を受け お邪魔していた個人宅に篭る用意をする。
街の大きなスーパーに買い出しに行く。まだまだ品物はたくさんある。
夜は塩豚を買って調理してみましょう。
明日の昼はタコスにしましょう。ひき肉や野菜なども買い込む。
飛行機が飛べばお帰りになるかもしれませんが、一応夜はとんかつで、
島の名物 鶏飯の材料も用意してくれる。
飲み物に氷、クーラーバッグにたくさんの材料を買い込んだ。
まだまだキャンプ気分である。そんなにひどくない台風なのかな?
しかし、東京にいる友人たちから早々に「大丈夫?」と連絡が入る。
奄美大島は今までに起こったこともない台風に見舞われるという。
その日の夕方から停電になった。
蝋燭の灯りの元、ガスはついたので塩豚をご馳走になった。
次の朝も作っておいた鶏飯をご馳走になる。
海近くのその家は、雨戸も絶対開けちゃいけないと言われ、
ただただものすごい波の音と風と雨が雨戸に当たる音を聞いて過ごした。
停電の2日目に突入する。
台風も中心からは逸れたがまだ戻りの風があるという。
恐る恐る雨戸を開けると、目の前は荒れ狂う海。
時折ものすごい風が吹くけれど、嵐は去ったようだ。
大切な蝋燭を消し、雨戸を開けて曇天ではあるが太陽光で過ごす。
太陽のありがたさ。部屋にこもっていた人たちもホッとしたようだ。
3日目の朝である。まだこの地区は停電が続いている。
今日の臨時便の席は取れている。
車の中は、エアコンも効いて 何より充電ができる。
皆さん携帯の充電は何%になってしまったと それが辛い。
携帯電話会社の基地局の蓄電も切れ 電波も通じなくなった。
わけもなくドライブをする。エアコンと充電と電波のために。
それと、停電の時豆電球のような小さな懐中電灯の上に
水入りのペットボトルをおいたらスタンドを置いたように明るくなった。
豆知識として覚えたほうがいい。
僕もドライブをしてようやく電波の届くところに来てこの原稿を送れた。
追伸、これから台風の進路にあたる皆様、
充電とガソリンはフルに。お気をつけください。