羽柴くんという、かけがえのない友人がこの世から姿を消して、
一年が過ぎました。
羽柴くんは、十四年前にボクがくも膜下出血を発症してからというもの、
あらゆる面倒を買って出てくれました。
倒れた直後、詰まっていたスケジュールの相手に連絡を取り、
穴が開かないように手配してくれた。
危篤の知らせも要所要所に伝え、
家族の精神的なフォローまでしてくれました。
ボクが長い眠りから目を覚ましたあとは、
まるでマネージャーのように仕事の手配をし、
できる限り遊びにも仕事にも同行してくれました。
妻は「病気の前はただの飲み友達で
あまり仕事は一緒にしたことはなかったと聞いて、
本当に驚いた」と言います。
あの働きぶりを見ていたら、とてもそうは思えなかったんだと思います。
そんな彼が倒れたと聞いたのは、突然のことでした。
その日のうちに妻は病院へ向かいました。
手術をするにも身内に連絡が取れない、
もしかしたら私たちなら何か知っているかもしれない、
と連絡があったのです。
そのとき、愕然としました。ボクは、彼の何を知っていたのだろう。
確か、弟さんと妹さんがいたはず。お父さんはご存命だと聞いたことがある。
それくらいしか知らなかったのです。
あんなに家族のように過ごしてきたつもりだったのに、
本当の家族のことを、ほとんど知らなかったのです。
それから何度もお見舞いに行きました。
ベッドに横たわる彼は、いつも「仕事は大丈夫ですか」と
ボクのことを心配してくれました。
最後に具合が悪くなったときに会ったとき、
彼はボクの手を握り、しばらく離しませんでした。
今思えば、あれが最後だとわかっていたかのようでした。
あの日のことを思い出すと、理由ははっきりしないのに、
後悔の涙がこみ上げてきます。
ちゃんと感謝を伝えただろうか。きちんと「ありがとう」と言えただろうか。
ふとした瞬間に、静かに胸を締めつけてきます。
キミは、ボクの人生でいちばん暗い時期に、
そばに立ち続けてくれた人でした。
ボクは、キミに何を返せただろう。一年経った今も、その答えは出ません。
でも、キミが守ってくれたボクの時間は、いまもこうして続いています。
本当に本当にありがとう
