つどいのひろば


新しい頑張るの形、「頑張る2.0」を提唱したい岡さん!
そのためには「頑張る」とは何か知ろう、ということで、
「頑張る」について研究されている、
帝京大学 文学部 社会学科教授の 大川清丈先生にお話を伺いました。

頑張るを辞書で引くと、忍耐・努力といったワードが。
つまり、日本式の頑張るは、やればできる・頑張ればできるというもの。
どれだけ努力したかが重要視される「努力万能主義」とも言えるとか。
対して欧米の頑張るは、元々持っている能力+努力の頑張る。
岡さんの「頑張る2.0」は、欧米の頑張るに近いかも、とのことでした。

頑張るが大きな意味を持つようになったのは、
終戦直後に合言葉のように言われていた「お互い頑張ろう」という言葉。
社会全体が貧しさからの脱却を目指して、まさに努力と忍耐の日々でした。
戦後の頑張るからの変化は、高度経済成長期。
豊かになった日本社会、頑張れば頑張っただけ報われる時代になりました。
バブル崩壊後には、頑張っても報われない時代になり、
頑張ることより、今を楽しむこと、が優先される風潮になりました。
これには格差社会が関係していて、
頑張ったところで元々持っている人には敵わない、
という思いがが広まってしまいました。
さらに豊かになっため、頑張る必要がない、と考える人も出てきました。

ただ、日本人の気質もあり、今後「頑張る」がなくなることはない、と
大川先生はお話しされていました。
自分を奮い立たせる「頑張る」はいいけれど、他人に強要する「頑張れ」は、
相手の立場に立って考えてみてからの方がいいかもしれませんね。
心理学的には、「頑張れ」ではなく、
褒める時に「頑張りましたね」と言うのがいいそうですよ。
さらに、とりあえず頑張れ!ではなく、
これをこうした方がいいよ、など具体的な指示が望ましい、とのことでした。

もっと詳しく知りたいという方は、
帝京大学出版会 帝京新書 大川清丈先生著
『「頑張る」「頑張れ」はどこへいく 努力主義の明暗』を読んでみてくださいね!


東林館高等学校理事長 喜田先生の親子教育相談所。
今月のテーマは「アントレプレナーシップ教育」でした。

アントレプレナーシップの定義は、
「イノベーションを武器として、変化のなかに機会・チャンスを発見し、
 事業を成功させる行動体系」。
新たな事業を創造し、クリエーションして、
リスクに立ち向かう精神・姿勢、考え方、あり方、振る舞いのことです。

今、アントレプレナーシップが求められる理由は、
1.低下する日本の国際競争力を回復する鍵と考えられているため
2.雇用形態の変化に対応するため
3.急速な日本社会の変化  などが挙げられます。

アントレプレナーシップ教育にある、
心がけることが望ましいポイントというのが、
1.新しいアイデアを否定しない
2.失敗が認められる
3.既存の考え方や価値観に囚われない です。

アントレプレナーシップを発揮しやすい人材の資質としては、
・リスクに対してポジティブである
・未来をイメージできる
・解決したい社会問題がある
・自分に対する自信がある
・優れたマネジメント能力ある
・新たなビジネスモデルやイノベーションを生み出す創造性がある
・人脈・人的ネットワークの構築力
・学び続ける精神
・力強いリーダーシップ  などがあり、
いわゆる「非認知能力」の延長線上の力となります。

思春期の年代では、大事なのが、「自分で考える力」。
今の子どもたちは親や先生たちが経験したことのない世界を
自分たちで考えながら、人生を歩まないといけなくなっています。
そのため、できれば早いうちから、大人が答えを与えずに、
自分で考えさせる習慣づけが大切、ということでした。

詳しくは「こちら」をチェック!


まもなくバレンタインデー!チョコレート!
と毎年盛り上がりを見せますが、
チョコレートのこと、実はあんまり知らないかも…?ということで
広島大学名誉教授の佐藤清隆先生に、
チョコレートのこと、さまざまな角度から教えていただきました!

まずお聞きしたのは、チョコレートのウソ・ホントを4問!
1 チョコレートの原産国は、ガーナである ⇒ ウソ
2 日本では、カカオの生産はできない ⇒ ウソ
3 チョコレートの生産量は、世界で増え続けている ⇒ ホント
4 チョコレートと労働問題は、切っても切り離せない ⇒ ホント

チョコレートの原産地は、南アメリカのアマゾン川の流域、
そして現在のカカオの生産国1位は、ガーナのお隣、コートジボワール!
ダントツの1位なんだそうです。
実は日本のカカオ豆の輸入先として一番多いのがガーナ。
政府のサポートもあり、日本のチョコレート会社の大半が、
ガーナから安定的に買っています。
ちょっと意外なのが、生産国第3位がインドネシアなんだとか。

続いて驚きだったのが、「日本でもカカオの生産はできる」!
小笠原諸島や沖縄などで生産されているそう。
ただ、カカオを育てるには年中温室などで16度以上を保ち、
さらに湿度も必要、と、手間もコストもかかる。
そのため、完成したチョコレートも高額になります。
それでも食べてみたい!というマニアの方もたくさんいらっしゃるので、
なかなか手に入らないようです。

そしてやはり大人気のチョコレート、生産量も増え続けています。
特に東南アジア、中国、インド、旧ソ連圏で伸びているとか。
カカオ豆には、600万トン~700万トンの需要がありますが、
供給量は500万トンと、すでに足りていない!
そこで、プレミアムな豆を買う人たちが出てくる、
安く売るには大量生産、そういった豆はあまりランクが高くないので、
国際価格以上の値段では売れない、とつながってしまいます。

最後に労働問題とのつながりについて。
先生が見て来られた中では、子どもたちが働いていることはあっても、
児童虐待、のようなひどさの環境ではない、そうです。
ただ、いま不安視されているのが、生産者の減少。
農業としてのカカオ生産の担い手が減っています。
そこで、きちんとビジネスとして、生産国の人とチョコレート会社とを
信頼関係の下、繋ぐことが大切になってきます。

私たちにできることは、チョコレートをしっかり食べること!
需要が多ければ、供給も増やす必要があり、
品質のいい豆ができることで、国際価格に上乗せで豆が売れる、とのこと。

日常に根付いたお菓子、チョコレートですが、
知らないことがたくさんありました。
皆さんもチョコレートの背景を考えながら、たくさん食べましょう!



広島市南区にある被爆建物「旧陸軍被服支廠」。
保存か解体かで揺れていましたが、
先月19日に現存する全4棟が国の重要文化財に指定され、
耐震化の後、保存されることが決まりました。

先日、竹原市とたけはら男女共同参画社会づくり実行委員会主催で
「語り継ぐヒロシマ」と題した、
「被服支廠」のツアーイベントが開かれました。
そこでガイドをされたのが、被爆者である内藤達郎さん。
平和学習講師として、平和記念公園や被服支廠をガイドされています。




大きな姿ながら、どういった建物か正確には知られていない部分もある、
旧陸軍被服支廠。
元々は、今から110年以上前、1913年に建てられた、
陸軍の軍服や軍靴などを製造していた施設でした。
全盛期は、木造の棟もあり、2500人~3000人が働き、
広大な土地を持っていたそうです。
数年間、解体か保存かで揺れ動き、
先日国の重要文化財に指定されたことで、やっと決着がつきました。
ただ、近年は活用されていない状況が続いています。




内藤さんは、今では被服支廠には4つの顔があると言います。
①大正時代の建築学的価値
②巨大な被爆建物
③臨時救護所(被爆者を葬った場所)
④軍事工場としての加害者責任「戦争の負の遺産」

爆風に耐えるほどの強固な構造をしていたため、
被爆直後には、たくさんの負傷者が運びこまれたのです。




内藤さんは「旧被服支廠の保全を願う懇談会」の事務局長です。
この会は、被爆者の中西巌さんが2014年に立ち上げ、
被服支廠全4棟の保存に尽力されましたが、
中西さんは昨年8月、保存の知らせを聞くことなく、亡くなられました。

現在、中に入ることはできませんが、今年耐震化工事が始まる予定です。
活用案としては、平和学習の拠点、文化芸術拠点、宿泊・観光拠点などが
検討されています。
内藤さんの思いは、「早く平和学習の拠点の一つに」。
これからの被服支廠がどんな顔を持つのか、追っていきたいと思います。




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