つどいのひろば


今回うかがったのは、佐伯区湯来町の「久保アグリファーム」、
1年間でおよそ10万人が訪れる人気の牧場です。
お話をうかがったのは、サゴタニ牛乳の3代目、久保宏輔さんです。



久保アグリファームには牛舎があって、
そこでおよそ120頭の乳牛が飼われています。
酪農には、牛舎で飼ってお乳を搾る「舎飼い(しゃがい)」と、
放し飼いで飼う「放牧酪農」があります。
久保さんが今挑戦しているのが、放牧酪農への転換。
徐々に乳牛が放し飼いで育てられる場所を増やしていき、
将来は「完全放牧酪農」を目指しています。


ロールベールラップサイロ(牛の大好物サイレージ<発酵した牧草>)


ところが、なかなか理想だけでは経営は成り立たないのが現実です。
久保さんの計算では、現在の牛舎で飼うスタイルから、放牧に切り替えると、
おそらく牛乳の採れる量は、およそ半分になる。
当然、収入も半分…。経営面での不安は大きい。
そのために、現在久保さんはいちご農園を作ろうとしています。
牛乳と相性のよいものを牧場に集めて、
強みを増やして「みんなの牧場」を作りたい。
去年から準備をはじめ、今年にはいちごの収穫ができる予定でした。
ところが…、
湯来町は去年の12月22日から24日にかけて記録的な大雪が降り、
ビニールハウスが倒壊…。
まさかの出来事にくじけそうになった久保さんでしたが、
再チャレンジを決意。
銀行から融資を受けたり、クラウドファンディングに挑戦しながら、
今度は「災害に強いビニールハウス」を目指しています。

クラウドファンディングサイト

酪農は、なかなか厳しい現実があります。
ロシアのウクライナ侵攻に加えて円安も手伝い、牛の飼料代が高騰。
コロナ前の1.5倍~1.7倍とも言われていて、
離農を考える酪農家も少なくないそうです。
その中で、久保さんは、
酪農は人生の一部。なくなることの苦しみがある。
牛を飼うことが生きていく証だと語りました。
わたしたちの牧場がいつまでも続くように、
何かできることをコツコツ積み上げる。
久保さんの想いを受け取った取材となりました。




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