つどいのひろば


今日は、番組を通して、不妊治療について特集。
当番組のサンフレッチェダイアリーでもおなじみ、
掛本智子さんも、実は不妊治療を経験されています。
辛かった思いも含めて、インタビューさせていただきました。

そのインタビューをもとに、7時台に続き、
新甲さなえ女性クリニック院長の 新甲さなえ先生にお話を伺いました。

掛本さんは、20代前半で子宮内膜症と診断されました。
子どもができにくいかも、と言われましたが、当時はピンときませんでした。
子宮内膜症は月経が来るごとに進行する病気で、不妊の原因にもなりえます。
日本では、40年間で30倍にも増えているそうです。
症状として、月経痛があるので、侮らず、病院に行くことが大切です。

不妊治療を進めるにあたり、女性は想像以上にたくさんの検査を受けます。
そこでよく出てくる言葉、
AMH=抗ミュラー管ホルモンというものがあります。
発育・活動している卵子の指標ですが、振れ幅が大きく、
測定値に振り回されないように、と、新甲先生が仰っていました。
自分で調べた知識よりも、専門家に頼ってくださいね。

検査の中には、生理3日目に来てくださいといった、
時間の制約があるものも。
病院での待ち時間が長くなるなど、スケジュールが読めないこともしばしば。
不妊治療という、難しい診療のため、
病院側としても、予定通りに進まないことが多々あるそうです。

不妊治療を進めていく中で、掛本さん同様、
多くの女性が、夫婦間の温度差を感じる、と言われます。
新甲先生は、不妊の因子の半分は男性にあり、同時に調べないと意味ないよ、
と伝えると、驚く男性が多いとお話されていました。
この現実も知ってほしいところですね。

また、中には周りに迷惑をかけてしまっている、と
負い目を感じてしまう方も多いそうです。
いまや6組に1組が不妊、新生児の10人に1人が体外受精で生まれる時代。
不妊治療を当たり前の医療として、周りが理解することが必要です。

さらに、体への負担も。
掛本さんは、ホルモンを増やすための注射を、毎日自分で打ったそうです。
加えて、病院でしか打てない注射もあります。
患者さんにとって大きな負担となる採卵を、
注射で卵をたくさん育てることによって一気に済ませるためです。
ただ、この注射、10年程前はすべて病院で打っていたそう。
不妊治療の段階も少しずつ改善され、進歩しています。

精神的に疲弊した状態で不妊治療を続けていた掛本さんは、
病院の先生の言葉で、心が折れてしまったこともありました。
先生はたくさんの患者さんを相手にするから、と頭では理解しつつも、
苦しいものは苦しい。
先生やご家族、親戚、友人、周りの人からの言葉で傷つき、辛かったことを
今でも鮮明に覚えている、という方もたくさんいらっしゃいました。
軽く投げた言葉が、心をえぐることが多々あります。
不妊治療への理解や、サポートする気持ちを持ちたいですね。

そしてもう一つの大きな問題が、金銭面です。
昨年、不妊治療は保険適用となりましたが、
それまでは一度の体外受精で60万、なんてことも。
今でも約3分の1になったとはいえ、20万かかる計算です。
何度もできるものではありません。
仮に何度も挑戦できる方でも、繰り返すと疲弊してしまいますよね。
ただ、不妊治療は高度な技術を必要とするため、
どうしてもお金がかかってしまうという側面もあります。

不妊治療は、一朝一夕にはいかない、複合的な課題を抱えています。
不妊治療には、周囲の理解、そもそもの不妊の予防に加えて、
自分たちが体のことに対して知識を持っておく。
こういったことが必要だと、新甲先生は仰います。

貴重な経験談を、辛い思いも吐露しながらお話してくれた掛本さん。
ありがとうございました。

掛本さんのインタビュー全編は、
RCCラジオのYouTubeにアップしています。
こちら」からお聴きいただけます。
ぜひ一度聴いて、不妊治療の現実を知っていただきたいです。



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