きょうは4時間を通して、「性的マイノリティ」について考えました。
そのきっかけを下さったのは、岡さんのお知り合いでいらっしゃったA子さんのお話でした。
A子さんは、トランスジェンダー女性と診断を受けた娘さんを持つ母親です。
娘さんは3歳のころから、
女の子の遊ぶものが好きだったり、女の子のキャラクターが好きだったり、
最初はただの興味と思っていたそうですが、
本人は「自分は女の子」と信じて疑わなかったそうです。
ただ、娘さんが望む形で生きられればいい。シンプルな話です。
ただ、世間はそうさせてくれません。
保育園では男女に分けられ、冷たい視線を送る保護者もいる。
中には存在を認めない人もいる。
権利を求めて声をあげることもできますが、
A子さんは聞き流すというか、さらりと流す方がいいと考えていたようです。
ただ、もうひとつ、A子さんには悩みがありました。
それは、自分自身。
病院の先生から言われても、
娘さんのことをトランスジェンダー女性だと断定できなかった自分、
世間一般の「普通」の人生だったらラクなのにと思う自分が、
心の片隅にいて、苦悩されているようでした。
そんなA子さんの抱える葛藤を誰かに相談できないかと探して、
わたしたちは、庄原市に住むトランスジェンダー女性、奥田圭さんに巡り合いました。
奥田圭さんは、1960年庄原市生まれ。
58歳で女性として生きることを決め、
2022年、庄原に「Chosen Family Shobara」を開設、
LGBTQ+のためのセーフスペースを開設し、居場所づくりを行っていらっしゃいます。
奥田さんは、A子さんの思いを正面から受け止めます。
そして、嫌になるという感情は、
娘さんを愛していて、受け入れたと思うことの裏返しだと語りました。
そして、それを何とかしたいと思うこと自体が尊い、と。
偏見はいけない。みんな分かっています。
だけど、社会が作り出す思い込みや決めつけは、
意識しなくても私たちにこびりついています。
今回の取材を通して、岡もスタッフも、
時代の社会通念が、身体にしみついていることに気づかされました。
トランスジェンダーの方々が抱えている苦労に比べれば、
些末な話ですが、自分達は想像力を失っています。
きれいごとだけでは、社会は変わりません。
偏見を持つ自分自身と向き合うことが、
差別をなくす第一歩になるのかもしれません。