出演:広島市健康福祉局 保健部 食品保健課 調査係 中川絵梨花さん
Q 今年は新型コロナの流行もありました。
食中毒に関する話で例年にない特徴はあったりした?
⇒広島市内は、例年と違うような状況にはありません。
しかし、現在、新型コロナウイルス感染症の影響で
テイクアウトやデリバリーをされる飲食店が増加。
テイクアウトや弁当などは、店内での飲食に比べ、
料理が調理されてから食べるまでの時間が長くなり、
食中毒のリスクが高まるので、
買った食品はすぐに食べるようにするなど、注意が必要。
Q 本格的に暑くなってきたが、どんな食中毒が要注意?
⇒6月9日、広島県全域に食中毒警報が発令。
食中毒警報は食中毒が起こりやすい気温や湿度などの条件を
満たしたときに発令される。
高温多湿となる夏場は、カンピロバクターや黄色ブドウ球菌などの
細菌による食中毒が発生しやすい時期。
カンピロバクターは鶏肉などの動物の肉についている細菌。
市販されている鶏肉の多くについている。
肉を調理するときは中までしっかり加熱して細菌をやっつけることが大切。
黄色ブドウ球菌は、人の皮ふ、
特に傷口やにきび、鼻の中などにたくさんついている細菌。
食品に直接触れる作業では注意が必要。
例えば、おにぎりを作るときはラップの上から握ると予防になる。
Q 食中毒にも流行はある?
⇒ここ数年、アニサキスという寄生虫による食中毒が増加。
アニサキスとは、長さ2~3cmほどの寄生虫。
サバやアジ、イカなどの魚介類に寄生。
アニサキスは冷凍や加熱で死滅するので、
調理をするときには70℃以上で1分加熱をすると予防に。
過去10年間でみますと、
カンピロバクターやノロウイルスを原因とした食中毒が多く発生。
ノロウイルスによる食中毒は
ウイルスをもっている調理者を介して発生することが多い。
例えば、調理者の手洗いが不十分な場合、
手指を介して食べ物を汚染してしまうことがある。
Q カンピロバクターなどはどうして流行りやすい?
⇒カンピロバクターとノロウイルスはともに、
少量でも体内に入ると発症することがあるので、
多くの食中毒が発生すると考えられる。
Q 食中毒はどんな症状?
⇒細菌による食中毒では、
主に腹痛、下痢、嘔吐などの胃腸炎症状や発熱が起こることが多い。
Q これはどうして起きる?
⇒細菌による食中毒は大きく二つに分けられる。
ひとつは、細菌のついた食べ物を食べることで
体の中に入った細菌が、増えることによって起こるもの。
もうひとつは食べ物についた細菌が食品中で増えるときに毒素を作り、
その毒素を食べ物とともに摂取することで起こるもの。
Q 食中毒の予防のポイントは?
⇒食中毒の予防方法として、
菌を「つけない」、「増やさない」、「やっつける」ことが重要。
手洗いを徹底し、調理器具を肉用、野菜用などに使い分けることで
菌を他の食材へつけないようにする。
食材やできあがった料理は室温に放置せず、早く食べるか、
すぐに食べられないときは冷蔵庫に入れることで菌を増やさないようにする。
料理をするときにしっかり加熱し、
使った後の調理器具などを洗浄消毒することで菌をやっつける。
この3つが予防のポイント。
Q 加熱すれば大丈夫!みたいな話を聞きますが、これ菌はやっつけられてる?
⇒一般的な細菌は75℃以上で1分加熱すると死滅する。
加熱するときは中心部まで十分、火を通すことが必要。
でも、加熱しても死なない菌もいる!!
菌によっては加熱してもなくならない、熱に強い毒素をつくるものもいる。
加熱を過信せず、食べ物を保存するときは速やかに冷やして冷蔵庫で保存する、
調理後はなるべく早く食べるようにするなど、
菌を「つけない」、「増やさない」ようにすることも大切。
Q ほかに気をつけることは?
⇒ 食中毒予防の基本は石けんを使った手洗い。
指の間や親指などは洗い忘れやすいので特に念入りに洗いましょう。
また、二度洗いが効果的。手洗いは、食中毒だけではなく、
新型コロナウイルス感染症予防にも効果的なので、ぜひ実践してください。