出演:株式会社ヤクルト本社広報室 課長
学術担当 有馬直美さん
Q 腸内環境とはどういうもの?
⇒ヒトの腸内には、およそ1000種類、約100兆個もの菌がすみついている。
その中には、ヒトの健康に役立つ良い菌や、有害な腐敗産物を作る悪い菌がいる。
腸にすんでいる菌のことを「腸内細菌」といい、
腸内環境とはこれらの菌との関係がうまくいっているか、
そうでないかを表す一つの指標といえる。
Q 腸内環境が良い悪いは、どんな状態?
⇒ヒトの健康に役立つ「良い菌」は、腸内で酸を作る。
これらの酸は腸内の悪い菌の増殖を抑えたり、
腸から吸収されエネルギー源になったりする。
一方の「悪い菌」は、毒素や発がんを促す物質などを作る。
腸内環境が良い状態では、乳酸菌やビフィズス菌などの良い菌が多い状態に保たれており、
一方の悪い腸内環境とは、良い菌が減り、悪い菌が増えた状態といえる。
Q なぜ腸内環境って悪くなるのか?
⇒腸内の「良い菌」が減ってしまう要因はいろいろある。
年齢のように抗えないものもありますが、
食物繊維が少ない高脂肪・高たんぱく質の多い食事に偏った食生活やストレスのように、
日々の生活習慣によって「良い菌」は減ってしまう。
このほかに、細菌感染や抗菌薬の使用も「良い菌」に影響を与える要因。
Q 腸内環境が悪いと、どんなデメリットが?
⇒長引く便秘や下痢などは腸内環境の悪化が関係しているかも。
お肌のコンディションは腸内環境を映す鏡のようなもの。
さらに腸内環境の悪い状態が続くと、さまざまな不調につながる恐れがある。
Q 逆に腸内環境が良いと、どんなメリットが?
⇒腸内環境が良い状態に保たれると、
おなかの調子が整い、お肌にも良い影響を期待できる。
腸内環境を良好に保つことの積み重ねが、健康の維持増進につながると考えられる。
Q 腸内環境を整えるにはどうしたらいい?
⇒腸内の「良い菌」は、食物繊維やオリゴ糖など、ヒトが直接消化・吸収しにくい成分を
餌として増えることが知られている。
食物繊維は、野菜や果物、キノコや海藻などに含まれる。
腸内環境を整えるのは特別な方法ではなく、
こうした食材を普段のお食事に取り入れることから始められると良い。
また、生きて腸にとどく乳酸菌などの良い菌を使った
発酵食品も手軽に利用できる手段。
Q いい腸内環境を維持していくのに大切にしたいことは?
⇒低脂肪で食物繊維を豊富に含む食材を食生活に取り入れ、
適度な運動や十分な睡眠などで
ストレス軽減に努めるなどを心がけてほしい。