出演:広島市健康福祉局保健部健康推進課 中西 貴浩さん
Q ことし4月から施行された、たばこに関する新しい法律というのはどんな内容?
⇒・2020年4月1日に「改正健康増進法」が全面施行。
この「健康増進法」は、以前から受動喫煙の防止について定めていた法律だが、
この4月1日から、内容が強化。
・新しい法律の内容を一言でいうと、
「望まない受動喫煙を防ぐ」ことを目的とした法律。
・複数の方が利用する施設を区分けして、
その区分ごとに喫煙をする際のルールを定めている。
Q 「受動喫煙」も健康に影響がある?
⇒・受動喫煙とは、タバコの先から立ち上る煙や喫煙者が吐き出す煙を、
タバコを吸っていない周りの方が吸ってしまうこと。
・タバコの煙の中には、約5,300種類もの化学物質が含まれており、
そのうち約70種類の発がん性物質が含まれている。
タバコの先から立ち上る煙にも、同じように科学物質が含まれるため、
受動喫煙でも、周囲の方の健康に害を及ぼしてしまう。
・これらの化学物質の中にはタバコを吸っている方が直接吸う煙よりも、
タバコの先から立ち上る煙の方が多く含まれている場合もある。
Q 受動喫煙の影響が分かる研究結果はほかにもある?
⇒・これまでの研究ではたばこを吸う夫をもつ妻は、
肺がんで死亡する率が高いことなどが明らか。
子どもへの影響も深刻で、乳幼児突然死症候群(SIDS)や喘息への影響は
大きいことが明らかとなっている。
Q 新しい「健康増進法」で決められた施設ごとの新しいルールとは、
具体的にどのようなもの?
⇒・新しい「健康増進法」では、
個人の住宅などを除いた「多数の方が利用する施設」を大きく3つに分け、
それぞれに喫煙のルールを定めている。
①幼稚園や小学校などの子どもが利用する施設や
病院や薬局などの病気を持つ方が利用する施設(=第一種施設)は、
「屋外を含めた敷地内全面禁煙」。
②それ以外の多くの方が利用する施設(=第二種施設)は「原則屋内禁煙」。
※「原則屋内禁煙」とされる第二種施設では、
壁や扉で仕切られた“喫煙室”を設置することが可能。
③タバコを販売するお店など、タバコを吸うことを目的としたお店は「喫煙目的店」とし、
お店の中で喫煙をすることが可能。
・喫煙が可能な場所については、必ず「喫煙室」の標識が掲示される。
たばこを吸う方は、「決められた場所(標識のあるところ)でタバコを吸う」ことを
守っていただきたい。
Q 街の小さな飲食店では、これまで通り、席での喫煙が可能なお店も残っているように思う。
そういったことも可能?
⇒・経過措置として、いくつかの条件を満たした「飲食店」については
お店全体を喫煙可能とし、これまでどおり席でタバコを吸うことも可能。
ただし、その場合にも、お店の入り口に「喫煙可能店」と表示が義務付けられている。
標識の有無を必ず確認するようにしてください。
Q その他に、注意してほしいルールは?
⇒・先ほどの「喫煙室」や「喫煙可能店」については、20歳未満の子どもの出入りが禁止。
お父さんやお母さんがタバコを吸う場合であっても、
子どもを一緒に連れて中に入ることはできない。
・また、飲食店などがお店の全体を喫煙可能とする場合には、
20歳未満の子どもをアルバイトなどで雇うことはできないので、
お店を経営される方は注意していただきたい。
・たばこの煙の影響を受けやすい子どもたちの健康を守るために、
ルールをしっかりと守ってほしい。
・詳しくは厚生労働省が専用のホームページを作っているので、
「望まない受動喫煙」で検索を。あるいは、広島市健康推進課へお問合せください。
Q 喫煙室は感染リスクの高い場所?
⇒・喫煙する際には、どうしてもマスクを外す。
また、施設の喫煙所では、顔見知りと一緒になることも多く、
タバコを吸いながら会話を楽しむことも多いのでは?
こうした「マスクを外した状態で、近い距離で会話をする」ことにより、
新型コロナウイルス感染症が感染するリスクは高まると考えられ、
この度、厚生労働省から発表された「感染リスクが高まる5つの場面」の一つに、
喫煙所も挙がっている。
・今は、新型コロナウイルス感染症の発症者もどんどん増えている現状。
喫煙室での会話はしない、利用者が多いときには使用しないなどを心がけてください。