出演 広島がん高精度放射線治療センター
永田 靖センター長
Q 昔はがんというと、不治の病というイメージがありましたが、
今は、そのイメージも変わりつつありますね。
⇒・今やがんの患者さんの10年生存率が約60%となり、
10人中6人はがんが治る時代になりました。
近年は、様々な治療法が目覚しく進歩したことにより、
早期発見・早期治療をすれば「がん」は決して不治の病ではなくなった。
しかし、未だにがんが日本人の死因の第1位であることはかわらず、
3人に1人ががんでなくなっている事実があります。
Q 受診控えの影響か、2020年にがんと診断された人が
前の年より減ったという報道もありましたね。
⇒2020年は全国的に早期胃癌や早期大腸癌の患者さんが減ったよう。
でもこれは検診控えによったもので、
発生数が減ったとは思えない。
しばらくして症状が出てくる可能性もあり、
やはりがん検診は重要。
・広島県内でも多くの方が亡くなる「がん」は
非常に恐ろしい疾患であることを忘れてはなりません。
コロナも怖いががんも怖い。
Q ちなみにどの部位のがん患者さんが多いんですか?
⇒・がんの部位別の罹患数の順位は、
1位:大腸、2位:胃、3位:肺、4位:乳房、5位:前立腺
男女別では、男性1位が前立腺、女性1位:乳房。
Q がん治療というと手術で長期入院というイメージがありましたが、
今はどんな治療法が主流ですか?
⇒・がんの治療法は、「手術療法」「放射線治療」
「薬物療法」の3本柱があります。
手術と言えば、近年はロボット手術や内視鏡手術の進歩が著明です。
薬物療法は、近年は抗癌剤以外に分子標的療法や免疫療法が
進歩しています。
放射線治療においても治療装置の進歩による
高精度放射線治療の進歩が著明です。
Q 改めて、放射線治療の特徴を教えてください。
⇒・放射線治療は、切らずに治療できることが一番の特徴。
・乳がんや前立腺がんに対する強度変調放射線治療(IMRT)や、
肺がんや肝臓がん、脳腫瘍等に対する定位放射線治療(SRT/SBRT)等は、
副作用が非常に少なく、歩いて医療機関に来て、
数分間放射線の照射を受け、
何の支障もなく歩いて自宅に帰っていただけるような治療です。
Q 放射線治療というとやはり怖いイメージがありますが、
その辺りはいかがでしょうか?
⇒・放射線治療は、きちんと管理した方法で治療を行えば安全。
早期癌でがんにのみ集中して照射すれば、
ほとんど副作用のない画期的な治療です。
Q 一言で放射線治療といっても
いろいろな方法があるものなのでしょうか?
⇒代表的なものとして、
「強度変調放射線治療」と「定位放射線治療」がある。
・強度変調放射線治療(IMRT):
放射線の照射中に、放射線の強さに強弱をつけ、
腫瘍に対して集中的に照射を行うことができる方法。
いろいろな形の腫瘍に対してもその形に合わせて
放射線を照射することが可能なため、
腫瘍以外の正常組織への影響が小さくなる。
・定位放射線治療(SRT/SBRT):
がんの病巣に対してあらゆる方向から
放射線を照射することにより、
線量を一点に集中させて治療を行う方法で
ピンポイント照射といわれている。
そのため、一度に高線量の放射線を病巣に対して
照射することができるため、治療回数が少なくて済む。
・最近では、肺がんに対する放射線治療と免疫療法の併用により、
生存率が劇的に延長することが分かるなど、
新しい治療もどんどん出てきている。
Q 永田先生がセンター長を務められている
広島がん高精度放射線治療センターでは
最先端の放射線治療が受けられるそうですね?
⇒・市内4基幹病院や県内のがん診療連携拠点病院、
その他の医療機関の全ての患者さんに、
最先端の放射線治療を提供するとともに、
医療従事者の人材育成や技術支援の拠点になることで
県内のがん治療水準の向上を図ることを目的に、
広島がん高精度放射線治療センター(HIPRAC)は設立された。
全国的にも非常に注目されている施設。
・センターでの特徴的な放射線治療としては、
術後乳癌に対する強度変調放射線治療や、
前立腺癌に対する波乗り照射、
肺癌や肝臓癌に対するピンポイント照射などです。
Q どのくらいの患者さんがどんな治療を受けられているんですか?
⇒・一日に60人~70人程の患者さんが来館。
HIPRAC開設から6年3ヶ月が経過しますが、
これまでに3,500名をこえる患者さんに
安全で高精度な放射線治療を提供。
・HIPRACは、外来通院専門の放射線治療施設で、
乳がん・前立腺がんが全体の2/3程度、
次いで肺がんや肝臓がん等の治療を行っています。
Q 現在、ご自身、あるいはご家族など身近な人で
がんの治療中の方で相談したいという方がいらしたら、
どうしたらいいでしょうか?
⇒まずは主治医によく相談しましょう。
多くのがんを扱っている病院には放射線治療医もいますので、
相談できます。
もし現在診療を受けている病院に放射線治療医がいない場合は、
広島がん高精度放射線治療センター(HIPRAC)で
医師に相談できるセカンドオピニオン外来(がん相談外来)を
開設しているので、
がん治療についてお悩みの方は、
医療機関から紹介してもらってください。
Q 最後に、がんの治療法について学べる機会があるそうですね?
⇒・「発見しよう!自分に適した『がん治療』」
をテーマに県民公開セミナーを開催予定。
(日時)令和4年2月26日(土)14:00~17:00
(場所)Zoom(ウェビナー)のみの開催
・がん治療には、「手術」「放射線治療」「薬物療法」等
様々な治療方法がありますが、
それぞれの特徴を最大限に活かし、
時には組み合わせて治療を行うことが効果的。
今回のセミナーは、4人の専門医が
「前立腺がん・乳がん・頭頸部がん・子宮がん」に焦点を当て、
それぞれの治療方法の違いや最新情報等を分かりやすく解説します。
ご自身やあなたの大切な家族のために
がん治療への理解を更に深めましょう!!
Q 事前申し込みは必要?問い合わせ先も教えてください。
⇒ 事前のお申し込みは必要です。
広島がん高精度放射線治療センターのHPからお申し込みください。
https://hiprac.jp/news/1190/
問い合わせは、センターまで(TEL:082-263-1330)。
締め切り 2月4日(金)。