出演:広島市歯科医師会 藤田智明先生
Q オーラルフレイルとは?
⇒直訳すると「お口の虚弱」という意味。
加齢とともに、全身の筋力や機能が衰えていきますが、
お口の筋肉や機能も同時に衰えていくことを指します。
Q オーラルフレイルは何が原因?
⇒主に、むし歯や歯周病で歯を失ってしまったけど、
適切な治療を受けていなかったり、
加齢による口の周りや舌の筋力の低下が原因。
ものをしっかり食べるには、噛む力と飲み込む力が必要だが、
むし歯や歯周病などで歯を失うと噛む力が弱くなり、
硬いものが食べにくくなる。
また、お口の周りの筋肉が低下すると、
食べこぼしや食べ物や唾液が間違って気管に入ってしまう、
誤嚥といったオーラルフレイル特有の症状を引き起こす。
しっかり食事をとり、元気でいるためには、
この気付きにくいオーラルフレイルにも注意が必要。
Q オーラルフレイルの疑いがある方はどのくらいいる?
⇒広島市において調査したところ、
20パーセントの高齢者に何らかの口腔機能の低下がみられる。
5人に1人の方がオーラルフレイルの疑いがあると言える。
Q オーラルフレイルを放っておくと、どんなことが懸念される?
⇒一番は、食事を楽しめなくなること。
オーラルフレイルが進行すると、
柔らかいものしか食べてなくなるなど、食べるものが限られてきたり、
ひどくなると食事が偏り、心身の健康にまで影響を及ぼし、
全身に影響すると言われている。
Q オーラルフレイルを進行させないために、
どんなことに注意したらよい?
⇒最初に話題となった、
「硬いものが噛みにくい」「むせるようになった」
「口が乾く」などの症状があったら、
年のせいかなと思わずに、歯科医院や地域包括支援センター等に相談を。
Q 日頃から自分でできるお口のトレーニングを教えてください。
⇒トレーニング方法は、様々。
舌を鍛える道具を利用したり、発声練習、口の体操等がありますが、
意識して口を動かすことが大事。
Q 働く世代、特に20代、30代の若い世代には、
自分はまだ関係ないのでは・・・という方もいるかも。
若いころから気を付けるべきことがあれば教えてください。
⇒健康なうちは、よくしゃべって、よく笑って、歌ったりと
日頃から口を動かすことが大事。
1口30回噛むといいと言われていますが、
これもオーラルフレイル予防に効果的。
Q お口の健康を保つためにも、
定期的な歯医者さんへの受診も大切ですね?
⇒むし歯や歯周病等、お口にトラブルがあると、
例えば人前で笑うことが恥ずかしくなったり、
口臭が気になって、話すのが嫌になったり、
最近ですとマスク生活で口呼吸になりがちというデータもある。
口呼吸は口の周りの筋肉を衰えさせると言われている。
日頃から、お口のトラブルをケアして、
健康な口、何でも噛める歯を守っていくことが大事。
Q お口の健康は全身の健康に大きく影響するといいますし、
気になることがあれば早めに相談したいですね。
⇒要介護状態になる理由として、病気がありますが、
病気というより、全身の虚弱、衰えが原因で
そうなる方の方が多いと言われている。
これを全身のフレイルと言いますが、
オーラルフレイルは、この前段階と言われている。
全身より先にお口がよわる症状が出るということです。
年のせいと、あきらめずに、口の機能や歯のトラブル等、
違和感を感じたらすぐ相談してほしい。