出演 公益財団法人中国労働衛生協会
宮田明 理事長
Q 中国労働衛生協会は福山市に本部を置く総合労働衛生機関ということですが、
備後地域や岡山・鳥取を中心に、
健康の面から企業の活動を支えておられるそうですね?
⇒当協会の本来の業務は産業保健活動でして、
労働者の方が健康で安全に働けるような環境などを整備することを
支援する業務を行っております。
具体的には健康診断や産業医活動、保健指導、健康教育などですが、
最近は地域にも目を向け地域住民の健康増進や疾病予防にも
力を入れております。
Q 中国労働衛生協会では「健康経営優良法人2022」の大規模法人部門で、
今年もその取り組みが認められたそうですね。
⇒・「健康経営」の概念がだんだん浸透して来まして、
取り組む企業は年々増加しています。
今年度は大規模法人部門には2,800を超える企業が申請しておりまして、
そのうちのおよそ8割が「健康経営優良法人」に認定されています。
・大規模法人部門の上位500社以内に入ると
「ホワイト500」という称号がいただけるのですが、
幸い今年も2年連続で通算3度目の「ホワイト500」に認定していただけました。
広島県で選ばれた3社のうち、独自の健康保険組合を持たずに
ホワイト500に認定されたのは我々だけです。
Q 今回は特にどんな取り組みに力を入れられたのですか?
⇒昨年度は特に「労働時間の適正化・ワークライフバランスの確立」と
「従業員に対する疾病の発生予防」を課題としております。
労働時間の方は、時間外労働に対する職員の意識改革を行い、
特に業務効率の改善に力を入れました。
「疾病の発生予防」については特に運動不足の職員が多いことが判明したため、
運動習慣定着のための施策をいろいろ行いました。
Q 運動習慣定着というとどんな取り組みをされたんですか?
⇒「チャレンジエクササイズ」と称する活動、
即ち職員の日常の運動量に応じてポイントを付け目標をクリアした人には
インセンティブとしてクオカードをプレゼントしたり、
参加者は年一回当協会が有する器械を用いて体組成を測定し
その効果を実感してもらうという事をしています。
他には運動サークルへの金銭的支援を行ったりしています。
Q 中国労働衛生協会は「健康経営」を支援するために、
サポート体制強化にも力を入れておられるそうですね?
⇒地域の企業にも「健康経営」を推進していただき
元気になっていただきたいということで、
「健康経営」の支援事業を一昨年より開始しました。
信頼を得るためにも「ホワイト500」を取得したわけです。
そして健康経営エキスパートアドバイザーの育成に力を入れました。
Q 健康経営エキスパートアドバイザーとは?
⇒・健康経営の必要性を説明し、実施のきっかけを作る
「健康経営アドバイザー」という資格がありますが、
「エキスパートアドバイザー」はその上位資格。
実務経験のある人を対象にして、
筆記試験後ワークショップでのロールプレイングや
課題への回答などの実習をクリアした後認定される資格で、
実際に企業に出向いて健康経営の実践をサポートすることが仕事。
・当協会では現在14名(保健師13名、渉外部門担当者1名)が
資格認定され、14名体制になっておりますが、
この地域では断トツの数だと自負しております。
Q 健康経営エキスパートアドバイザーが増えたことで、
どんな変化がありましたか?
⇒・健康経営支援の契約をさせていただいた事業所には
的確な支援ができるように、
必ずエキスパートアドバイザーを派遣し、支援していますが、
より多くの事業所からの要望への対応が可能となりました。
・担当保健師が最初にヒアリングを行い、
その事業所が求められている支援が何かをお伺いするのですが、
彼らも経験を積むにつれてそれを短時間で的確に把握できるようになり、
対応すべき支援内容の企画も的確に行えるようになって来ています。
当然それぞれの事業所で事情は異なっていますので、
それぞれにカスタマイズした支援を心掛けてくれています。
Q 直接事業所に出向く渉外部門の担当者が
健康経営エキスパートアドバイザーだと、
健康経営を広めることにもつながりそうですね。
⇒彼らが担当事業所に対して健康経営の意義やメリットを
正確にお伝えできるようになり、
それぞれの事業所の実情に合わせた提案もタイムリーにできるようになりました。
また健康経営の啓発についての広報活動も的確に行ってくれています。
Q 実際、健康経営の支援をされていて、感じられる変化はありますか?
⇒熱心で色々な取り組みをされている企業では、
我々の目で見ても従業員の活力が向上し、
目に見えて活き活きと働かれていることが感じられます。
またそういう企業では健診のデータや従業員のライフスタイルも
明らかに改善して来ており、経営者の方には喜んでいただいております。
まだ日が浅く事業業績や生産性の向上までの解析はできておりませんが、
おそらく経営改善につながっていくものと信じております。
Q 健康経営がどんどん広がってくるといいですね。
⇒「健康経営」支援事業を始めて日が浅いのですが、
支援させていただき積極的に協力していていただいている企業では、
目に見えて成果が出ていますので我々もやりがいを感じており、
これからもできるだけ沢山の企業のお手伝いができればと思っております。