出演:広島市健康推進課 保健師 前川 優希さん
Q 熱中症は暑さや湿気に私たちの体が適応できなくて生じているもの?
⇒その通りです。
そのため、熱中症は予防法を知り、実践することで
ある程度防ぐことができる。
昨年の5月から9月の間に全国で熱中症により
救急搬送された人の数は7万人をこえた。
重症化すると死亡につながることもあるので、
予防することがとても大切。
Q 熱中症は程度によって症状が違ってくる?
⇒日本救急医学会では熱中症の重症度を1度~3度に分類。
・1度:めまい、立ち眩み、筋肉のこむら返り、手足のしびれなど
現場での応急処置で対応できる軽症。
・2度:頭痛、吐き気、体がだるいなど
病院への搬送を必要とする中等症。
・3度:まっすぐ歩けない、意識障害、けいれんなどの
入院して集中治療の必要がある重症。
Q 仕事によって、どんな熱中症対策がとれるかかわってきそう
⇒厚生労働省が公表している「熱中症の業種別発生状況」によると、
建設業、製造業、運送業の順に熱中症の発生が多いことが分かっている。
屋外での作業がある場合は、必ず帽子をかぶり、
可能であれば作業場所に簡易な屋根を設けるなど
直射日光や照り返しを遮るようにすることが大切。
また、屋内外ともに、作業時間を短くして、
定期的に休憩時間を確保するようにしてください。
休憩場所では、体を冷やせるようにしたり、
こまめに水分・塩分の補給ができる体制づくりも重要。
Q 自宅で仕事をする方も注意は必要?
⇒熱中症は屋内にいても発症する。
屋内での熱中症による死亡者のうち、
約9割の方がエアコンを使用していなかったことが
明らかになっている。
室内では、ブラインドやすだれなどで直射日光を遮り、
エアコンなどの空調設備を利用しましょう。
とにかくこまめな水分補給を心がけてください。
1日当たり1.2リットルの水分補給が目安となっていますが、
発汗量に見合った量の水分の摂取が必要。
また、睡眠時や入浴時にも汗をかくため、
起床時や入浴前後は水分を摂取する必要がある。
Q 日頃の体調管理も大切?
⇒寝不足や二日酔い、風邪などの体調不良時は特に熱中症になりやすい。
万全ではない体調のまま暑い環境に行くことは避けてほしい。
風邪等で発熱したり、下痢になったりしている場合は
脱水のリスクが高くなる。
水分補給、温度・湿度の調整、バランスの良い食事をとることや
睡眠をとるなど日々の健康な体づくりが熱中症の予防にもつながる。
Q まわりの人が熱中症になってしまった際は、
どのように対応したらよい?
⇒応急処置としては、涼しい場所へ避難し服を緩め、体を冷やす。
氷のうや保冷剤、冷えたペットボトルなどで首筋や脇の下、
足の付け根など太い血管が通っている部位を冷やすと効果的。
呼びかけに反応し、水分を自力で摂取できる場合は水分補給をしてください。
胃の表面から体を冷やしてくれるため、冷たい飲み物がおすすめ。
大量に発汗があった場合には、汗で失われた塩分も適切に補える
イオン飲料やスポーツドリンク等が最適。
Q 呼びかけへの反応が鈍い場合や症状が良くならない場合は注意が必要?
⇒そんな時は無理に水を飲ませないようにしましょう。
以上の対応をしても、症状が良くならない場合には医療機関を受診してください。
症状が良くなっても休息をとり、回復したら帰宅し安静にするようにしましょう。
声をかけても反応がないなど症状の重い場合はすぐに救急車を呼んでください。
Q 知識を持っていても、自分では異変に気付きにくいところもありますし、
お互いの声掛けを大切にしたいですね。
⇒お仕事など作業をされているときに、
少しでも異変を感じたら、必ず作業を離れて、
涼しい場所での休息や水分補給などの対策をとっていただきたい。
熱中症のリスクが特に高いお子さんや、高齢者の方が近くにおられる場合は、
冷房を使用しているか、水分をとっているか、無理をしていないか、
と気にかけていただきたい。
みんなで声をかけあって、安全に夏を過ごしていただければと思います。