出演:広島県歯科医師会 福井康人先生
Q 歯を失う原因は?
⇒最も多いのが「歯周病」によるもの40%弱、
その次が「むし歯」で30%程度。
3番目が「歯の破折」で20%程度。
「歯の破折」はほとんどがむし歯で歯の神経を取った結果起こるので、
「むし歯由来」とすると約50%になって最大の原因。
Q 歯を失ったままにしておくと、「噛む」というのが難しくなりそう・・・
⇒前後の歯が傾いたり、噛み合う歯が伸びて噛み合わせに不具合が生じる。
そうなるとどうしても噛みにくいので、片側のみや前歯のみなど、
残っている歯のみで噛む食生活を続けてしまい、
噛む力がアンバランスになり、噛み合わせが乱やすくなる。
Q かみ合わせが乱れるとどんなことが起こる?
⇒身体全体のバランスが崩れてしまい、転倒しやすくなる可能性がある。
実際、65歳以上の健康な人を対象に、
歯の数と入れ歯の使用の有無が転倒リスクと関連があるかを調査した結果がある。
その結果、20本以上歯がある人に比べて、
歯が19本以下で、入れ歯を使用していない人の転倒のリスクは2.5倍。
また、歯が19本以下でも入れ歯を使用している人は、
歯が20本以上ある人と比べて転倒リスクに差がないことも分かっている。
Q 年を重ねて、転倒すると、骨折の心配もありますし、気を付けたい。
歯を失ったまま放置すると、その他にはどんな影響がでてくる?
⇒歯がほとんどなく、入れ歯を使用していない人は、
歯が20本以上ある人と比較して、認知症の発症リスクが
1.85倍高くなったという調査結果もでている。
原因としては、歯を失ったことにより、噛む能力が低下し、
咀嚼による脳への刺激が減少することや
噛みづらい生野菜などを避けることによる、
ビタミンなどの栄養が不足することが
認知症発症リスクを高める可能性が指摘されている。
Q 失った歯をそのままにしておくと、
もちろん見た目にも大きな影響がある。
⇒噛み合わせが崩れて不安定になると
顎の骨が左右どちらかに傾いて顔が歪んでしまい、
顎関節にも負担がかかるようになっていく。
噛む刺激が減ると歯を支えている歯槽骨が吸収を起こしてしまい、
顎の骨がやせて骨のある部分の筋肉や皮膚が落ちくぼみ、老け顔になる。
Q ほかにも影響はありますか?
⇒歯がない部分から空気が漏れると、発音が不明瞭になり、
会話が成立しにくくなるおそれがある。
さらに会話がしにくいことにより、コミュニケーションを取るのが億劫になり、
精神的にふさぎ込んでしまったりすることも考えられる。
Q 歯を失った場合、どんな治療がある?
⇒主にブリッジ、入れ歯、インプラントが挙げられる。
多くの歯を失った場合も、義歯を使用することで、
転倒や認知症のリスクを下げることができる。
Q まずは、歯の悩みが出てきたら、早めに歯医者に行っていただきたい。
⇒早めに歯医者で悩みを解決すれば、歯を失う前に対処することもできる。
もちろん失ってしまってからでも、
治療すれば様々なリスクを軽減することができるので、
ぜひ早めの検診に行っていただきたい。
Q マスクを外す機会も増えましたし、
ぜひ歯の健康についても改めて考えていただきたいですね。
⇒歯は定期的に検診を行えば、いい歯を保つ事ができる。
まずは、近くの歯科に行って頂きたい。