独立行政法人 労働者健康安全機構
広島産業保健総合支援センター 寺村 清美さん
Q メンタルヘルス・ファーストエイドとは?
⇒メンタルヘルス(心の健康)の問題を抱える人に対して、
専門家による支援の前に提供する支援のこと。
日本語に訳せば「こころの応急処置」。
メンタルヘルス リテラシー
いわゆるメンタルヘルスに関する知識や情報を活用する能力を向上するために、
2001年に、オーストラリアで開発された。
Q まだあまり聞きなじみがない言葉ですが、
世界的に広がりを見せているそうですね。
⇒米国では、オバマ元大統領夫人が
メンタルヘルス・ファーストエイドの普及の為の大規模キャンペーンを実施したり、
英国では、メイ前首相や、英国王室ウイリアム王子なども活動の支援をするなど、
国際的にも広がっている。
日本でも、岩手県など被災地でのこころのケアに活用されている。
Q なぜメンタルヘルス・ファーストエイド、「こころの応急処置」が必要なのか?
⇒メンタルヘルスの問題はよくあること。
例えば、うつ病は、15人に1人がなる可能性があるといわれている。
将来、自分の身近な人が精神的に不調になる可能性は実は低くない。
しかし、「顔で笑って心で泣く」というのが美徳というような
日本の文化的なところもあり、
なかなか、周囲にネガティブな気持ちを口に出すことができないところがある。
Q だからこそ、身近な人が早めに気付いて支援することが大切?
⇒ある調査で、発症から6か月で受診した場合は半数以上が回復するのに対し、
5年経ってから受診すると、1%しか回復しないというデータもある。
精神疾患は、回復することが可能で、
早期の対応、早期の受診は、病からの回復を促進する。
しかし、メンタルヘルスの問題には、
偏見があったり、恥ずかしさから、支援を受けたがらない傾向があったりする。
もしくは、自分に支援が必要なことに気づかなかったり、
必要ないと思ったりする場合もある。
そのため、周りの人が心の不調に早期に気づいて支援することが大事。
Q 「メンタルヘルス・ファーストエイド」とはどのようなプログラム?
⇒これは、心理的危機に陥った方に対して、
専門家の支援が提供される前にどのような支援を提供すべきか、
どのように行動すべきか、という対応法を身につけるプログラム。
メンタルヘルス・ファーストエイドには5原則があり、
研修プログラムの参加者は講義に加えてロールプレイなどの実技を通じて
対応法を習得する。
Q 5原則とありましたが、具体的に教えてください。
⇒5原則、「り・は・あ・さ・る」と覚えてください。
・「り」=「リスク評価」
声をかけ、リスクを評価し、その場でできる支援をしましょう。
・「は」=「批判せずにはなしをきく」
決めつけず批判せず、はなしを聞き、コミュニケーションをとりましょう
・「あ」=「あんしん、情報を与える」
あんしんにつながる支援と情報を提供しましょう
・「さ」=「サポートを得るように勧める」
専門家のサポートを受けるようすすめましょう
・「る」=「セルフヘルプ」
自分でできる対処法 セルフヘルプやその他のサポートを進めましょう
Q 「メンタルヘルス・ファーストエイド」は、「り・は・あ・さ・る」ですね。
⇒「りはあさる」の「は」、「話をきく」こと、傾聴が全ての支援の土台。
傾聴の「ちょう」の漢字は、自分の耳と目と心を十分に傾けて聞くと覚えてください。
傾聴とは、決めつけず、批判せず話を聞くことです。
傾聴の必要性が生じたら、まずは、場所、時間、人(自分)を確保しましょう。
傾聴は支援の出発点であり、悩んでいる人への最大の支援となります。
傾聴は、非言語的メッセージが9割です。
「大丈夫かな」と感じた人に声をかけ、傾聴してみてください。立派な支援です!
Q 会社でのメンタルヘルスについてどのように取り組めばよいのか分からない、
社内にメンタル不調でお休みがちな人がいるがどのように関わればよいか分からない、
気になる同僚がいる場合など、どこに相談すればいい?
⇒今日のラジオきいたよ、と、是非、産保センターへの問合せてみてください。
産保センターは会社や労働者への相談支援を行っているところです。
メンタル支援に精通した相談員もいます。
相談内容によっては、適切な支援機関へおつなぎします。
また、ご依頼があれば各会社へ出向いての、メンタルヘルス研修等も行っています。
是非、ご相談ください。
Q 問い合わせ先を教えてください。
⇒産保センターのホームページに「お問い合わせ」のページがあるので、
こちらからご連絡ください。
「広島さんぽセンター」と検索いただければ表示される。
ホームページには支援している内容や研修などのご案内もありますので、
是非一度ご覧ください。
【広島産業保健総合支援センター】
https://www.hiroshimas.johas.go.jp/