広島県医師会 常任理事
福原医院 院長 檜山 桂子先生
Q 肺年齢とは?
⇒・呼吸機能は、健康な人でも20歳代をピークにして加齢とともに低下していくが、
喫煙や呼吸器の病気などにより、その低下が健常な人よりも早くなる。
特に喫煙男性は、非喫煙者の倍のスピードで低下すると言われている。
・同性・同年代の方と比較して自分の肺の健康状態がどの程度にあるのかを知る指標として開発。
Q 肺機能が衰えていくとどうなる?
⇒・呼吸が浅くなり、歩いたり階段を昇ると息切れがする、
それを避けるためあまり動かなくなる、風邪をひきやすくなる、など。
骨密度の低下(骨粗鬆症、圧迫骨折)、筋力低下(サルコペニア、フレイル)とも関連する。
・酸素と二酸化炭素のガス交換を担う肺胞というスポンジのような構造は一度壊れると再生できない。
・肺の生活習慣病といわれる「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」が原因になっているかも。
Q 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは?
⇒長期間の喫煙等による生活習慣病で、全国で500万人を越える患者さんがいると言われている。
従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていた。
運動時に呼吸が苦しくなったり、慢性的に咳が続くなど、
進行すると呼吸不全となり息切れなどで着替えや入浴など日常生活にも支障が出る。
喫煙経験者の約20%が発症する。
発症する人と発症しない人の差は、遺伝的素因や感染既往など。
喫煙経験が全くなくても、小児期に呼吸器感染症を繰り返した人や
気管支喘息などがある人の中にCOPDを発症するケースも。
Q 自分でできる肺機能のチェック法は?
⇒次の項目で自分に当てはまるものがないか、皆さん、チェックしてみてください。
1,咳が出る
2,痰がつまる
3,息苦しさ
4,坂道を上ると息切れ
5,日常生活が制限される
6,肺が気になり外出が制限される
7,肺が気になりよく眠れない
8,元気がない (CAT質問票より)
複数あれば呼吸機能が低下している可能性あり。
肺機能検査をしましょう。
Q 肺年齢を正確に調べたい場合はどうしたらいい?
⇒呼吸器内科を受診し、
スパイロメトリー(呼吸機能検査)の結果の「一秒量」と
年齢・身長から計算できる。
COPDの診断は「一秒量」/「努力肺活量」<70%。
コロナ後は、肺機能検査を休止している医療機関も多いので、
検査希望の場合は、可能か否か予め問い合わせましょう。
Q 肺を健康に維持するためにはどうしたらいい?
⇒・禁煙、周りからの副流煙も避けること。
手洗い・口腔ケア・ワクチン・マスクなどの感染予防。
小児時の肺炎など肺へのダメージを避ける。
・散歩や体調にあった適度な運動。呼吸筋を鍛えれば、呼吸機能の維持・改善に効果あり。
日頃の食事からの十分な栄養や規則正しい生活で十分な睡眠をとることも大切。
Q 呼吸筋を鍛えるためによいトレーニング方法があれば、教えてください。
⇒まず、意識して腹式呼吸をしましょう。
息を吸った時にお腹がへこむのは胸式呼吸。これではたくさん息が吸えない。
お腹に手を当てて、息を吸った時にお腹が膨らむように鼻から息を吸う。
息を吐くときは、口をすぼめてゆっくり時間をかけて吐く。
特にCOPDの人はこの呼吸法で肺機能が改善する。
全身持久力も大事なので、歩数計を持って歩き、週単位で伸ばしてゆく、というのもいい。